
出産ってたくさんお金がかかるって聞いたけど、正直よくわからない⋯。
「出産や育児で休業すると、お給料はどうなるんだろう?」
「教員でも手当をもらえるの?」
こうした疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
特に、学校現場は忙しく、制度を調べる時間がないという方も少なくないと思います。
しかし制度を知らないままだと、本来受け取れるはずの手当をもらい損ねたり、生活設計がうまく立てられなかったりすることも⋯。
せっかくの支援制度を活用しない手はありません。
そのお金の面の不安にしっかりと備えてくれているのが共済です。
私は、公立学校共済組合の制度は最強だと思っています。
しかし、この制度について研修や説明もなく、定期的に冊子が机上に置かれているだけですよね?
私たちは毎月の給料から天引きされているにもかかわらず、その制度を詳しく理解できていないのが現状です。
このような「心に余裕を持って安心して働くために必要な知識」は、自治体の初任者研修で扱うべき内容でしょう。
人は、自分に余裕があるからこそ他人のために頑張れるものです。
教師には熱い心を持ち、子どもたちのために一生懸命働く素敵な方がたくさんいます。
私自身もそんな素晴らしい先生方との出会いを通じて、多くのことを学び、今があります。
しかし、「共済のHP、ややこしくて読んでもよくわからない!」という声をたくさん聞いてきました。
私自身も強くそう思います!
普段、家電の説明書を最初から最後まで読むタイプの私ですが、共済の制度を理解するのに苦労しました。
教師の保障はとても手厚いのに、その事実がほとんど知られていないのは大問題です!
「これはアカン!」
私は一人でも多くの先生にこの制度を知ってほしいと思い、情報発信をしています。
共済制度を知ることが、心の余裕につながると信じています。
- 『教師として長年頑張っている人』
- 『教師になりたての人』
- 『これから教師を目指す人』
すべての先生に、ぜひ知ってほしい!
- 「共済のHPを見たことはあるけれど、よく分からなかった」という人
- 「そもそも見たことない」という人
このような方が「なるほど」となるようにしたい!
そんな思いを込めて、わかりやすく解説していきます(^^)
2024年にプライベートでFP3級の資格を取得するために、共済制度を隅々まで確認しました。
詳しいユタカ先生のプロフィールはこちらから
今回は『教員が出産・育児のために休業する場合に受け取れる出産手当金と育児休業手当金』について解説します。
✅️ どんな手当を受け取れるのかが分かる
そんな内容となっています。
🙋 出産〜育児期間の具体的な毎月の受給額を知りたい
という方は必見です。
今回を含めて社会保険について全7回に分けて確認します。(今回は第6回です)
以下が今回の記事の結論です。
✅ 出産手当金と育児休業手当金で収入をカバー
↳出産や育児のために休業した場合、収入が減少する。
↳しかし、公立学校共済組合の手当が手厚いので安心して育児や休業に臨める。
✅ 出産手当金
↳公立学校教員は、産前産後休業で給与が支払われるため対象外です。
↳つまり、給料がそのまま支払われる。
✅ 出産費・出産費附加金の支給
↳組合員やその扶養家族が出産した場合に支給され、最大55万円の支給される。
✅ 育児休業手当金
↳休業開始から180日までは過去12か月の標準報酬月額の2/3、180日以降は1/2が支給される。
↳最大2歳まで延長できる場合もある。
標準報酬月額はそれぞれ異なるので個別で計算しなければいけません。
この計算を「だれでも、無料で、簡単に、自動計算」してくれるようにしてみました。
ぜひ、ご自身の場合で試してみてください。
一人でも多くの女性教職員の方が、申請の流れを理解し、スムーズに手続きを進め、休業中の生活設計に役立ててもらえたら幸いです(*^^*)/
多くのリスクをカバーする制度「社会保険」
●社会保険は、日本の公的保険制度の一つで、国民の生活を支えるために設けられた仕組みです。
主に病気や老後、失業、介護などのリスクに備えるために、個人や企業が保険料を支払い、その対価として給付を受けることができます。
年金保険:老後の生活費、障害が生じた場合の生活費、死亡後の遺族の生活を支える。
介護保険:高齢者の介護サービス、介護費用を軽減。
雇用保険:失業時や育児・介護休業時の生活を支える。(今回はココ)
労災保険:業務中や通勤中の事故や病気に備える。

詳しくはこの記事で解説しています。
【教員夫婦に必要な保険は?】生活を守りつつ無駄をなくすための考え方を徹底解説!
出産手当金と育児休業手当金の違い


「出産手当金」と「育児休業手当金」のどちらも、収入を補填することが目的です。
これとは別で出産費を補うための「出産費・出産費附加金」という制度もあります。
出産手当金とは?
「出産のために休業し、給与が減額された場合に生活を保障するための給付」のことです。
⚠️公立学校教員は、産前産後休業で給与が支払われるため対象外です。
産前産後休業については以下の記事で解説しています。
【前編】教員の妊娠前後から出産前まで
【後編】教員の出産前と出産以降
受給要件
次の2つを満たすことが必要です。
①妊娠13週(85日)以降の分娩(正常分娩・流産・早産・死産を含む)であること
②出産のため産前産後の休業を取得し、給与が減額されていること
給付期間
出産予定日または出産日の前42日(多胎妊娠は98日)~出産後56日の間で、勤務に服せなかった期間です。
給付額
1日あたりの支給額 =(過去12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 22)× 2/3
ただし、勤務期間が12か月未満の場合は次のいずれか低い方です。
① 直近の標準報酬月額の平均 ÷ 22 × 2/3
② 前年度9月30日時点の全組合員の平均標準報酬月額 ÷ 22 × 2/3
申請方法
1.勤務校または教育委員会から申請書を入手
2.必要事項を記入し、医師の証明をもらう
3.教育委員会を通じて公立学校共済組合へ提出

出産費・出産費附加金とは?
「出産に伴う経済的負担を補うための給付」のことです。
出産費(家族出産費)・出産費附加金(家族出産費附加金)とは?
出産に伴う経済的負担を軽減するための給付金ですが、それぞれの適用対象が異なります。
出産費
↳組合員本人が出産した場合に支給
家族出産費
↳組合員の被扶養者が出産した場合に支給
出産費附加金
↳組合員本人が出産した場合に、出産費に加えて支給される追加の給付金
家族出産費附加金
↳組合員の被扶養者が出産した場合に、家族出産費に加えて支給される追加の給付金
※被扶養者とは、配偶者などの家族のこと。
受給要件
出産費(家族出産費)は、次のいずれかを満たすことが必要です。
① 組合員またはその被扶養者が出産
※妊娠4カ月以上(妊娠85日以上)の出産であること(流産・死産・早産・人工妊娠中絶も含む)
② 1年以上組合員であった人が退職後6カ月以内に出産
※退職後に他の健康保険から出産費の給付を受ける場合は支給されない
出産費附加金(家族出産費附加金)は、次の条件を満たすことが必要です。
組合員またはその被扶養者が出産
※妊娠4カ月以上(妊娠85日以上)の出産であること(流産・死産・早産・人工妊娠中絶も含む)
※1年以上組合員であった人が退職後6カ月以内に出産した場合は支給されない
給付額

出産費(家族出産費)は50万円です。
↳産科医療補償制度未加入の病院で出産した場合は 48万8千円
出産費附加金(家族出産費附加金)は5万円です。
組合員でも被扶養者でも、出産費と出産費附加金を合わせて最大55万円の支給です。
退職後6カ月以内の出産でも「出産費」は支給されるが、「出産費附加金」は支給されません。
申請方法
出産費(家族出産費)と出産費附加金(家族出産費附加金)の申請方法には、以下の3つの方法があります。
① 直接申請(事後申請)
出産費用を一旦全額支払った後、共済組合に申請し、出産費・出産費附加金を受け取る方法です。
1.出産費用を病院などに支払う
2.「出産費等申請書」 を共済組合に提出
3.出産の事実が確認できる書類(出生証明書や母子手帳のコピーなど) を添付
4.共済組合の審査後、指定口座に給付金が振り込まれる
② 直接支払制度(医療機関に直接支払い)
組合員が出産費の請求・受け取りを病院に委任することで、共済組合が 病院に直接支払う方法です。
↳病院での窓口負担が軽減されます。
1.病院で「直接支払制度」を利用する旨を伝える
2.病院で「合意文書(契約書)」に署名
3.出産費用が出産費(50万円)を超えた場合のみ、不足分を病院に支払う
※ 出産費附加金(5万円)は、別途共済組合に申請する必要がある
③ 受取代理制度(病院を代理人にして支払い)
共済組合が病院などに直接出産費と出産費附加金を支払う方法です。
「直接支払制度」の対象外となる小規模な医療機関(年間分娩件数100件以下の診療所・助産所など)で利用できます。
1.出産前に「出産費等申請書(受取代理用)」を共済組合に提出
2.出産後、共済組合から病院などに出産費+出産費附加金(最大55万円)が直接支払われる
3.実際の出産費用が支給額より少ない場合、その差額が組合員の口座に振り込まれる
・出産費附加金(家族出産費附加金)_表-1024x355.png)
👤まとまった費用を用意したくない
↳「②直接支払制度」や「③受取代理制度」がおすすめ
👤小規模な病院・助産所で出産する
↳「③受取代理制度」が利用可能か確認
👤病院が「直接支払制度」に対応していない
↳「③受取代理制度」を検討(要事前申請)
👤全額支払った後に申請する
↳「①直接申請(事後申請)」を利用
どの制度が利用できるかは、出産予定の病院に事前に確認しましょう。
・出産費附加金(家族出産費附加金)-1024x765.jpg)
育児休業手当金とは?
「育児のために休業した際に受け取れる手当」のことです。
受給要件
次の3つを満たすことが必要です。
①所属する学校に育児休業を申請し、正式に承認を受けていること
②育児休業に係る子どもが1歳未満であること(条件により最大2歳まで延長可)
③育児休業期間中に勤務していないこと
給付期間
子が1歳となる誕生日の前日までの期間です。
※パパ・ママ育休プラス(父母がともに育児休業を取得した場合の育児休業期間の延長制度)を適用する際は、最長1歳2ヶ月まで延長可能です。
※特別な事情がある場合(例)
①保育所に入れない場合 ➡ 1歳6ヶ月まで延長可能
②1歳6ヶ月を時点でも保育所に入れない ➡ 2歳まで延長可能

給付額
● 育児休業開始から180日まで
1日あたりの支給額 =(過去12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 22)× 2/3
● 181日目以降
1日あたりの支給額 =(過去12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 22)× 1/2

給付上限額

申請方法
1.勤務校または教育委員会から申請書を入手
2.必要事項を記入し、必要書類を添えて提出
3.雇用保険の窓口で審査後、指定口座に振り込まれる

自分の産前産後〜育児休業手当金をChatGPTで計算
手順①:下記の文章をコピーし、ChatGPTに貼り付けましょう。
手順②:【かっこ】内の条件を入力しましょう。
私は公立学校の教員です。出産と育児で仕事を休業する際の産前産後休業期間の給与と出産費、育児休業手当金がいくら受給できるか計算したいです。受給額とかかる税金を途中の計算式も含めて教えて下さい。産前、産後、育休(180日まで)、育休(181日目以降)で表にしてください。
出産予定日:【●年●月●日】です。
産前産後休業期間:【出産日の前42日(多胎妊娠は98日)~出産後56日の間】です。
出産費の申請:【①直接申請(事後申請)・②直接支払制度・③受取代理制度】です。
育児休業手当金の受給期間:【子が●歳●ヶ月になるまで】です。
私の給料:【290,000円】です。
私の標準報酬月額:【340,000円(02級048号給)】です。
産前産後休業について
・有給休暇扱いになります。
育児休業について
・育児休業開始から180日までは、1日あたりの支給額 =(過去12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 22)× 2/3です。
・181日目以降は、1日あたりの支給額 =(過去12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 22)× 1/2です。
※ただし、1日あたりの育児休業手当金額の上限額は次の通りです。
・育児休業手当金が支給される日数は、週休の土曜日や日曜日は給付対象外、祝日が平日と重なる場合は支給対象なので、20日で計算する。
育児休業開始から180日まで
期間 | 1日あたりの育児休業手当給付上限相当額 |
平成28年8月から平成29年7月まで | 12,927円 |
平成29年8月から平成30年7月まで | 13,622円 |
平成30年8月から平成31年3月17日まで | 13,695円 |
平成31年3月18日から令和元年7月まで | 13,713円 |
令和元年8月から令和2年7月まで | 13,832円 |
令和2年8月から令和3年7月まで | 13,896円 |
令和3年8月から令和4年7月まで | 13,722円 |
令和4年8月から令和5年7月まで | 13,878円 |
令和5年8月から令和6年7月まで | 14,097円 |
令和6年8月以降 | 14,334円 |
181日目以降
期間 | 1日あたりの育児休業手当給付上限相当額 |
平成28年8月から平成29年7月まで | 9,647円 |
平成29年8月から平成30年7月まで | 10,165円 |
平成30年8月から平成31年3月17日まで | 10,220円 |
平成31年3月18日から令和元年7月まで | 10,234円 |
令和元年8月から令和2年7月まで | 10,322円 |
令和2年8月から令和3年7月まで | 10,370円 |
令和3年8月から令和4年7月まで | 10,240円 |
令和4年8月から令和5年7月まで | 10,356円 |
令和5年8月から令和6年7月まで | 10,520円 |
令和6年8月以降 | 10,697円 |



出産前後は給料がそのまま出る。
育休(180日まで)は約20万円出る。
育休(181日目〜)は約15万円でる。
公立学校共済組合は最強!!
今回は、出産・育児のために休業する場合に受け取れる手当てについて解説しました。
以下が今回の記事の結論です。
✅ 出産手当金と育児休業手当金で収入をカバー
↳出産や育児のために休業した場合、収入が減少する。
↳しかし、公立学校共済組合の手当が手厚いので安心して育児や休業に臨める。
✅ 出産手当金
↳公立学校教員は、産前産後休業で給与が支払われるため対象外です。
↳つまり、給料がそのまま支払われる。
✅ 出産費・出産費附加金の支給
↳組合員やその扶養家族が出産した場合に支給され、最大55万円の支給される。
✅ 育児休業手当金
↳休業開始から180日までは過去12か月の標準報酬月額の2/3、180日以降は1/2が支給される。
↳最大2歳まで延長できる場合もある。
教師であるあなたは知っている!そして、生徒に語ってきたはずです!
「素直にコツコツ頑張れる人が最終的に良い結果を得られる」と。
『経済的』余裕を手に入れるための勉強を始めるあなたは『生徒』です。
ぜひ、自分の場合はいくらの保障があるのかを計算してください。
「生活(お金)のために教師をやめられない・・・」ではなく、
「教師という仕事から得られる価値のために働きたい」という先生にあふれた職場になると、ステキな教育環境になると本気で信じています。
ぜひ、みなさんが「豊か先生」となり、充実した人生を過ごしていただけたら、同じ先生である私も嬉しいです。(*^^*)
ブログを通じて、教師としての考え方やノウハウを共有するだけでなく、将来を担う子どもたちや教育現場に少しでも良い影響を与えられるよう、今後もコツコツと発信を続けていきます。
このブログが、読んでくださる方々にとって「気づき」や「ヒント」となれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(^^)
おわり。
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